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東京地方裁判所 平成元年(特わ)1240号 判決 1989年11月16日

本籍

東京都武蔵野市吉祥寺南町二丁目二六二九番地

住居

同都同市吉祥寺南町二丁目二九番一三号

無職

大林武男

昭和一七年四月二四日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官渡辺咲子出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一〇月及び罰金一七〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、東京都武蔵野市吉祥寺南町二丁目二九番一三号(昭和六〇年三月までは同都三鷹市井の頭三丁目三一番一五号)において、霊感占業を営んでいたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、浄霊、祈願、写経の収入の一部を除外し、仮名あるいは他人名義で定期預金を設定し、あるいは家賃収入を除外するなどの方法により、所得を秘匿した上

第一  昭和五九年分の実際総所得金額が四〇五三万四二九三円あった(別紙1修正貸借対照表参照)にもかかわらず、昭和六〇年二月一八日、同都武蔵野市吉祥寺本町三丁目二七番一号所在の所轄武蔵野税務署において、同税務署長に対し、昭和五九年分の総所得金額が一七七万四〇一三円であり、これに対する所得税額は六万二三〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書(平成元年押第一〇五三号の1)を提出し、もつて不正の行為により、昭和五九年分の正規の所得税額一八一八万六七〇〇円と右申告税額との差額一八一二万四四〇〇円(別紙2脱税額計算書参照)を免れ

第二  昭和六〇年分の実際総所得金額が四二五二万一八二一円あった(別紙3修正貸借対照表及び修正損益計算書、別紙4脱税額計算書の総所得金額欄参照)にもかかわらず、昭和六一年二月一九日、前記武蔵野税務署において、同税務署長に対し、昭和六〇年分の総所得金額が二四〇万五二二〇円であり、これに対する所得税額は一三万七〇〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書(平成元年押第一〇五三号の2)を提出し、もって不正の行為により昭和六〇年分の正規の所得税額一九三七万二三〇〇円と右申告税額との差額一九二三万五三〇〇円(別紙4脱税額計算書参照)を免れ

第三  昭和六一年分の実際総所得金額が五八二七万二〇二三円あった(別紙5修正貸借対照表及び修正損益計算書、別紙6脱税額計算書の総所得金額欄参照)にもかかわらず、昭和六二年二月一六日、前記武蔵野税務署において、同税務署長に対し、昭和六一年分の総所得金額が二三三万二七〇一円であり、これに対する所得税額は一三万七〇〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書(平成元年押第一〇五三号の3)を提出し、もつて不正の行為により、昭和六一年分の正規の所得税額二九二二万四〇〇〇円と右申告税額との差額二九〇八万七〇〇〇円(別紙6脱税額計算書参照)を免れたものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する平成元年六月二一日付(三通)、同月二三日付、同月二五日付、同月二八日付(一七丁のもの)、同月二九日付(二通)、同年七月三日付(五丁のもの)、同月一一日付の各供述調書

一  志賀啓子(四通)、大林寿子、大林イチ(三通)の検察官に対する各供述調書

一  収税官吏作成の普通預金、定期預金、指定金銭信託、大林イチ勘定、事業主貸勘定、事業主借勘定、事業専従者控除額、申告所得金額の各調査書

一  検察事務官作成の現金、志賀啓子勘定、元入金の各捜査報告書

一  税務署長作成の証明書

判示第一の事実につき

一  被告人の検察官に対する平成元年六月二六日付供述調書

一  収税官吏作成の商品の調査書

一  押収してある昭和五九年分の所得税確定申告書、同決算書一袋(平成元年押第一〇五三号の1)

判示第二、第三の事実につき

一  被告人の検察官に対する平成元年七月三日付供述調書(一四丁のもの)

一  収税官吏作成の定期積金、建物・附属設備、不動産所得の各調査書

判示第二の事実につき

一  被告人の検察官に対する平成元年六月二八日付供述調書(一五丁のもの)

一  収税官吏作成の預り金の調査書

一  押収してある昭和六〇年分の所得税確定申告書、同決算書一袋(平成元年押第一〇五三号の2)

判示第三の事実につき

一  被告人の検察官に対する平成元年六月二八日付(二五丁のもの)、同月三〇日付の各供述調書

一  収税官吏作成の定額貯金、貸付金、雑所得の各調査書

一  押収してある昭和六一年分の所得税確定申告書、同決算書一袋(平成元年押第一〇五三号の3)

(法令の適用)

判示各所為 所得税法二三八条一項、判示第三につき所得税法二三八条二項

刑種の選択 各懲役刑及び罰金刑

併合加重 刑法四五条前段、懲役刑につき同法四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第三の懲役刑に加重)、罰金刑につき同法四八条二項

換刑処分 刑法一八条

執行猶予 刑法二五条一項(懲役刑につき)

(求刑 懲役一〇月 罰金二〇〇〇万円)

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 柴田秀樹)

別紙1

修正貸借対照表

大林武男

昭和59年12月31日現在

<省略>

別紙2

脱税額計算書

昭和59年分 大林武男

<省略>

別紙3

修正貸借対照表

大林武男

昭和60年12月31日現在

<省略>

修正損益計算書

自 昭和60年1月1日

至 昭和60年12月31日

<省略>

別紙4

脱税額計算書

昭和60年分 氏名 大林武男

<省略>

別紙5

修正貸借対照表

大林武男

昭和61年12月31日現在

<省略>

修正損益計算書

自 昭和61年1月1日

至 昭和61年12月31日

<省略>

別紙6

脱税額計算書

昭和61年分 氏名 大林武男

<省略>

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